MINIPOCHI’s diary

僕は50代後半、妻は50代半ば、東京在住です。子供二人、犬一匹(16歳のトイプードル、ポチ)、20年11ヶ月、246,432Km乗り続けてきたR53 BMWミニ JCWは本当に楽しい車でした。現在は2022年式アウディRS3セダン(GYDNWF)です。ドライブ、株式投資、ペット、オーディオ、音楽、時計等、雑記ブログです。

業務用モニターヘッドホン【ソニー MDR-CD900ST】と【MDR-M1ST】他

 少し前になりますが、ソニーの業務用モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」を買いました。税込定価 19,800円ですが、実売価格は16,000円前後です。僕は音楽や音響のプロではなく素人ですが、業務用ヘッドホンがどんなものなのか興味があり買ってみました。僕は普段ヘッドホンはあまり使わないのですが、オーディオが趣味なので基準になる音があると何となく安心できます。素人なりに【MDR-CD900ST】【MDR-M1ST】についていろいろ考えてみました。

 「MDR-CD900ST」は、オーディオに興味のない方でも見たことがあるヘッドホンではないでしょうか。1989年発売開始ですので30年以上使われているロングセラーモデルです。これだけ長期間製造され続けていますので途中で細かなマイナーチェンジが行なわれているかもしれません。

 最近よく見る下記のような動画でも「MDR-CD900ST」はよく使われています。

www.youtube.com

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 2019年発売開始の「MDR-M1ST(税込定価 34,650円)」等と比較もしてみました。

 この記事を書くにあたり、先日、ヨドバシAkibaに行き、改めていろいろ試聴してみました。ヨドバシAkibaは、たくさんのヘッドホンが展示されており、手持ちの機器と接続して自由に試聴することができます。展示品を耳に当てるのが気になる場合は試聴の前後に除菌ティッシュで耳を拭いておくと良いと思います。僕は、手持ちのスマートフォン(ギャラクシー SC-02M)とYou Tubeの音源で試聴しました。曲は、髭男 ラフターを中心に、カーペンターズやロバータフラック等も聴いてみました。

 「MDR-CD900ST」は一般的なヘッドホンとは少し異なる印象の音質だと思いました。それに対して「MDR-M1ST」は一般的なヘッドホンに近い音質だと思いました。「MDR-M1ST」「MDR-CD900ST」の後継機種的なモデルではなく、別のモデルだと思います。音質の傾向がかなり異なります。

 「MDR-CD900ST」が一般的な密閉型ヘッドホンと少し異なる印象の音質なのは、ハウジング(振動板が取り付けられているお椀状の部分)の構造によるところが大きいと思います。「MDR-CD900ST」は振動板と耳の距離がすごく近いので振動板の音がダイレクトに聞こえてくる感じです。また、密閉型の割には、外部と遮断されている感じが少なく外の音が割とよく入ってきます。セミオープン型に近い密閉型といったところでしょうか。一般的な密閉型と「MDR-CD900ST」の音の違いをざっくり説明するとすれば、手のひらを、お椀状にして耳に当てて、そこから音が出ているのが一般的な密閉型の音のイメージでしょうか。それに対して、手のひらを平らにして耳に当てて、そこから音が出ているのが「MDR-CD900ST」の音のイメージでしょうか。手のひらを耳に当てると「コーッ」という潮騒のような音が聞こえますが、手のひらをお椀状にした場合はどちらかと言えば、こもったような音だと思います。手のひらを平らにした場合はどちらかと言えば乾いた感じの音だと思います。手のひらとヘッドホンのハウジングは異なりますが、ストレートで色付けのない音質にする場合は、耳と振動板の距離が近い方が有利だと思います。「MDR-M1ST」も密閉型としては振動版と耳の距離は近い方だと思いますが「MDR-CD900ST」と比べると少し距離があります。「MDR-M1ST」は低域が豊かで聴きやすい音質ではあるのですが、細かな音の聞き取りやすさでは「MDR-CD900ST」のほうが、より優れているような気がします。高品質なヘッドホンアンプで駆動すると、また違った印象になるのでしょうか。

 ネットで調べてみると「MDR-CD900ST」のデメリットとして「高域がきつい」「低音が出ない」といった意見が割と多いようですが、僕は、そんなことはないと思います。フラットで、ごまかしや色付けのない音質だと思います。豊かな低域という感じではないかもしれませんが、必要にして十分な低域の再生能力を持っていると思います。特に低域の質感の表現力が優れていると思います。ドラム等の微妙な音の違いも分かりやすいです。低域の表現力が優れたスピーカーやヘッドホンは意外と少ないと思います。

 「MDR-CD900ST」の音を聴いて思ったのは、写実的な絵画を間近で見ているような感じがしました。写実的な絵画を間近で見ると作者の筆使いや絵肌や使っている色はよく分かるのですが、例えば肌の部分は肌の色ではなく絵の具の色として見えますし、空気感や立体感は感じられません。離れて見ると空気感や立体感が感じられますし、肌の部分も絵の具の色ではなく肌の色として感じられます。

 僕は素人なので音楽の制作現場のことはよく分かりませんが、「MDR-CD900ST」は音楽を間近で確認するために開発されたヘッドホンのような気がしました。細かな音はよく分かるのですが、空気感とかミュージシャンの息使いといった音楽の雰囲気はあまり感じられないと思いました。そのような表現力はスピーカーの得意分野でしょうか。 ヨドバシAkibaではシュアーやソニーの8万円前後のヘッドホンの音も聴いてみました。一般的に高価な密閉型ヘッドホンはハウジングが大きく耳と振動版までの距離が遠いものが多いと思います。このような構造とすることで、空気感とかミュージシャンの息使いといった音楽の雰囲気が感じられるような音作りがやりやすくなるのでしょうか。

 色々な考え方があると思いますが、スピーカーとヘッドホンを用途によって使い分けるのが一番よいかもしれません。特にニアフィールドスピーカーとしての用途に適しているスピーカーの場合は、細かな音の表現力と、空気感とかミュージシャンの息使いといった音楽の雰囲気が、高いレベルで両立できると思います。

 「MDR-CD900ST」はヘッドホンの特性を最大限に活かしたヘッドホンで、切り捨てる部分は潔く切り捨てている気がしました。設計段階から切り捨てていると思われる部分について、このヘッドホンの欠点とするのは「MDR-CD900ST」の正しい評価とは言えないと思います。

 自宅では「MDR-CD900ST」の再生音とスピーカーの再生音を比較してみたのですが、空気感とかミュージシャンの息使いといった音楽の雰囲気は、スピーカーのほうが、よく再現されていると思いました。これはスピーカーと「MDR-CD900ST」の差なのか、スピーカーとヘッドホンの差なのかはよく分かりませんが、おそらくスピーカーとヘッドホンの差だと思います。ちなみにシステムは全てソニー製でHDDプレーヤー「HAP-Z1ES」、アンプ「TA-A1ES」、スピーカー「SS-NA5ESpe」です。

 尚、ソニーミュージックスタジオの機材リストをみると現在は「MDR-M1ST」が使われているようです。

https://www.sonymusicstudio.jp/files/2/Studio_PDF_downloads/Equipment-List_ver_6_5_1-J.pdf

 

ソニー業務用ヘッドホンについては、ソニーの下記のサイトで詳しく説明されています。

www.sony.co.jp

 上記のサイトでは「MDR-CD900ST」は「スタジオ」の項目で「アーティスト」「レコーディング」がベストマッチ「マスタリング」がマッチ「MDR-M1ST」は「アーティスト」「レコーディング」「マスタリング」の3項目ともベストマッチになっていました。「スタジオ」の項目の「アーティスト」「レコーディング」「マスタリング」については上記のサイトで分かりやすく説明されています。

 僕は「MDR-M1ST」の開発の意図がどこにあるのか少し分かりにくいと思っていたのですが、上記のサイトを見て自分なりに理解できた気がしました。僕は素人なので間違っているかもしれませんが「MDR-M1ST」が最も重視したのは「マスタリング」への対応だったのかもしれません。上記のサイトの「マスタリング」の説明は少しわかりにくいかもしれませんが、「マスタリング」とは、実際に音楽が再生される環境でバランスの取れた音にするための作業、ということになると思います。実際に音楽が再生される環境は大掛かりで本格的なオーディオ装置というよりは、むしろパソコン、スマートフォン、コンパクトーディオ、イヤホン、小型スピーカー等で再生されることが多いと思います。そのような環境でもバランスの取れた音に調整するためには、例えば五角形のレーダーチャートできれいな五角形になるようなバランスの取れた音質のヘッドホンが必要になったということかもしれません。音の粗探しのような用途には「MDR-CD900ST」のほうがより適しているような気がします。現在ではイヤホンやヘッドホンで音楽を聴く人が多いと思いますので、そのような現状に対応する業務用モニターヘッドホンが必要になってきたということでしょうか。

 オーラトーンやヤマハNS-10Mといった小型モニタースピーカーは、実際に音楽が再生される環境でバランスの取れた音になっているかどうかを確認するためによく使われるスピーカーのようですが「MDR-M1ST」はそのような用途も想定したヘッドホンということかもしれません。

 「MDR-CD900ST」が普段使いのヘッドホンとして適しているかどうかについては、十分に適していると思います。多くのプロに愛用されている確かな製品ですし、本物の音だと思います。基準になる音として1台持っていてもいいヘッドホンだと思います。業務用ということで面白みのない音ではないかという点については、ずいぶん前に買ったソニー「MDR-ZX600(参考税込定価7,668円[実売価格3,500~5,000円位])」と比べてみましたが、大丈夫だと思います。

 業務用と言ってもヨドバシやビックカメラといった家電量販店で普通に売られていますので、できれば試聴してから買うといいかもしれません。「MDR-CD900ST」の音質について、ネットの評価では「高域がきつい」「低音が出ない」と感じる方も割と多いようですので、実際に自分の耳で確かめてみるとよいと思います。場合によっては「MDR-M1ST」という選択肢もありますが少し高額になります。

 「MDR-CD900ST」は業務用なので保証がなく初期不良のみの対応となりますが、さほど心配する必要はないと思います。業務用のためか、製品は、あっさりとした段ボール箱に入っています。プラグが金メッキではありませんが、特に気にすることはないと思います。XLRコネクター等業務用のプラグやジャックは金メッキではないものが多いです。