パテックフィリップ REF.3970 永久カレンダームーンフェイズクロノグラフについて述べてみたいと思います。
製造期間は1986年~2004年迄となるようです。
凝縮感が印象的な時計です。文字盤、針、ムーブメントはルーペで観察しても細かなところまで、しっかり作り込まれています。この作り込みが凝縮感につながっているのだと思います。
36ミリというサイズは大きすぎず小さすぎず、適度な厚みがあり、腕によく馴染みます。
文字盤はたくさんの表示機能を持っています。12時位置の二つの小窓は「曜日」「月」表示です。3時位置インダイアルの短い針は閏年表示、長い針はクロノグラフの30分積算計です。6時位置インダイアルはディスクカレンダーになっています。月齢表示も付いています。9時位置インダイアルの短い針は24時間表示、長い針は永久秒針です。クロノグラフのセンター針は常時作動させておくと機械に負担がかかるといわれていますので、時間計測時以外は止めておき、普段は永久秒針で秒の確認をします。尚、最近ではCH28-520のように常時秒針を動かしておいても問題が生じないような設計のクロノグラフムーブメントもあります。
ムーブメントはCAL.CH27-70Qです。レマニア製のベースムーブメントをパテックフィリップがチューンナップしたものです。スペックは下記のとおりです。
24石 キフ耐震装置 ブレゲひげゼンマイ ジャイロマックステンプ フリースプラング緩急調整方式 18,000振動 コラムホイール式 秒針停止機構なし ジュネーブシール刻印 30分まで計測可能なツーカウンタークロノグラフ
8姿勢差で調整されています。8姿勢差で調整されたムーブメントはほとんどないと思います。逆に言えば、そこまで多くの姿勢差で調整する必要はないということでしょうか。一般的には5姿勢差での調整です。6姿勢差で調整されたムーブメントも時々見かけます。たくさんの姿勢差で調整したから高精度ということにはならないと思いますが、ムーブメントに英語で「8姿勢差による調整」と刻まれているのを見ると、特別感が感じられます。
このムーブメントは大きなテンワが特徴的です。かなり大きいと思います。古典的な18,000振動のロービートで大きなテンワがゆったり動く様子が味わい深いと思います。
プッシュボタンのタッチはスタート、ストップ、リセットすべてが高級機らしい心地よい感触です。クロノスタート時に若干針飛びが見られることがありますが、古典的な水平クラッチ式クロノグラフの場合は仕方がないことでしょうか。最近多くなってきた垂直クラッチ式は針飛びがありませんが、CAL.CH27-70ほど心地よい感触のクロノグラフは多くはありません。