HAP-Z1ES ソニー HDDオーディオプレーヤーは、オーディオマニアにとっても音楽マニアにとっても、満足度の高いプレーヤーではないでしょうか。
CDや音楽配信サービスで購入した音源を本体にコピーするのが少し手間かもしれませんが、慣れればそうでもありません。それよりも大量の音楽を気軽に高音質で楽しめるメリットのほうが、はるかに大きいと思います。CDの出し入れや保管場所は結構、面倒ですが、そのようなわずらわしさから解放されました。TUTAYAからCDを借りてくればリーズナブルにたくさんの音楽を楽しむことが出来ます。
カタログでは自動転送が紹介されていますが、僕は手動転送を使っています。転送後は必ず本体でチェックしたほうがよいと思います。たまに転送されていない曲があったりします。レンタルCDを返却した後で気がついても遅いので、転送後すぐにチェックしたほうがよいと思います。
曲数が多くなってくると、本体のジョグダイヤルだけでは選曲が大変ですので、「HDD Audio Remote」のインストールは必須だと思います。スマートフォンやタブレット端末で本体を操作できるようになります。
2013年発売開始モデルで、設計の古さが気になる方がいるかもしれませんが、問題ないと思います。1TBの容量は十分だと思いますが、外付けハードディスクの接続も可能です。DSDは5,6MHzまでで11,2MHzには対応していませんが、このような音源は少なく、特に問題となるようなことではないと思います。
カタログではあまり紹介されていないようですが「ミュージックサービス」機能は大変便利だと思います。有線LANまたは無線LAN(Wi-Fi)でネットに接続されている必要がありますが、「radiko」「Sopotify」「TuneIn」を聴くことが出来ます。実質的にはチューナー付プレーヤーといったところでしょうか。国内のFMやAM放送のほか、世界中の放送局の試聴も可能です。アメリカやヨーロッパだけでなくアフリカとか中東とか普段あまり接することのない音楽を聴くこともできます。例えば「ギニア」とか「アラブ首長国連邦」とかです。また「モルドバ」等、あまり耳にしたことがないような国の放送を聴くこともできます。遠い国の放送をイメージを膨らませながら聴くのは、BCLラジオで遠い国の放送を聴くのと少し通じるものがあると思いました。
難しいことはよく分かりませんが「あらゆる音楽データを5,6MHzのDSDに変換するDSDリマスタリングエンジン」は録音スタジオなどで使われる業務用機器の開発で培った技術が盛り込まれているそうです。これはON/OFFが可能です。また「さまざまな音源を高音質化するDSEE」も搭載されています。これもON/OFF可能です。これはディスプレイ横の小さな青いランプで確認できます。音源がDSDの場合は自動的にOFFになるようです。これらの機能はDSD 5,6MHzの音源でなければ実現できないようなアナログのような滑らかな音質に近づけるための機能ということでしょうか。僕は両方ともONにしています。ONのほうが好ましい音質のような気がします。
パーツ類については、デジタル部とアナログ部を独立し、トロイダルではありませんが2個の大容量トランスを搭載しています。抵抗というパーツはソニーが独自で開発したものを使用しています。コンデンサも音に与える影響が大きいと思われますが、コンデンサは納得のいく品質のものが見つかったものの、抵抗はソニーが要求する品質のものが見つからなかったため独自で開発したということでしょうか。蓋を開けて内部を見てみましたが、ほれぼれするような美しい内部というほどではなかったと思います。
回路の詳しいことはわかりませんが、CDの規格はソニーとフィリップスの共同開発のようですし、DSD方式はソニーが開発したようですし、デジタル音源のノウハウはソニーに集中しているような気がします。デジタル音源をアナログに変換する機器で他のメーカーができることは限られているような気がしますが、素人考えでしょうか。
音質については特に不満はありません。今のところ、これ以上のものが欲しいという気持ちにはなりません。末永く使えそうです。