MINIPOCHI’s diary

僕は50代後半、妻は50代半ば、東京在住です。子供二人、犬一匹(16歳のトイプードル、ポチ)、20年11ヶ月、246,432Km乗り続けてきたR53 BMWミニ JCWは本当に楽しい車でした。現在は2022年式アウディRS3セダン(GYDNWF)です。ドライブ、株式投資、ペット、オーディオ、音楽、時計等、雑記ブログです。

ダブルコーンフルレンジスピーカー ラウザーPM4 コーラルBETA-8

 ラウザーPM4 コーラルBETA-8の音の傾向等について述べてみたいと思います。ラウザーPM4はエンクロージャーを自作することなく最近ヤフオクで手放してしまいました。コーラルBETA-8は40年位前、自作のバックロードホーンで聴いていましたが、ユニットだけ手元に置いていたものを、こちらも最近ヤフオクで売却しました。両スピーカーとも現在手元にはありませんので、ヤフオク売却時のコメントと記憶による記述です。

 ラウザーPM4やコーラルBETA-8は、非常に強力な磁気回路と軽いコーン紙が特徴のダブルコーンスピーカーです。コーラルBETA-8はちょっとクセが強すぎて使いこなしが難しいかもしれませんが、ラウザーは比較的使いやすいと思います。僕は見た目の面白さからPM4を購入しましたが、PM6あたりが使いやすくて良いかもしれません。ラウザーは作りが繊細で取り扱いには注意が必要と言われています。僕が所有していたラウザーもエッジがボロボロになりましたので、ユートピア機器(株)で同社が言うところの永久仕様のセーム革エッジに張り替えました。僕が購入したラウザーは1990年代前期です。現在ラウザー本社のウェブサイトを見たところでは、当時より作りがよくなっているようですが、日本で入手可能なのか、また音質がどうなのかについてはわかりません。

 高能率ダブルコーンフルレンジスピーカーは、驚くほど生々しいボーカル等の再生をすることがあるものの、クセが出やすい音質でソースを選ぶ傾向がある、といったところでしょうか。ダブルコーンフルレンジの購入を検討されている方は、試聴をして、よく検討されたほうがよいと思います。

 現在、入手しやすいダブルコーンフルレンジはフォステクス位でしょうか。

 フルレンジの定位の良さはマルチウェイ方式にはないものですが、あらゆる音源をバランスよく再生する能力を考えますと、やはりマルチウェイ方式でしょうか。僕も現在使用している、ソニー SS-NA5ESpeで十分に満足しています。

 オーディオを追求する場合フルレンジスピーカーというのは面白い分野だと思いますが、泥沼に入ってしまいそうです。現在主流のマルチウェイ方式で市販品を買うのが無難なのは確実だと思います。シンプルさを追求する場合フルレンジスピーカーはネットワーク回路がないので鮮度の高い音の再生には有利かもしれません。しかしながらアンプのトーンコントロールが必要になってくるかもしれません。

 フルレンジスピーカーは分割振動があるので、音質が良くないと言われることがありますが、どうなのでしょうか。

 

メーカー:ラウザー(ローサー)
型番:PM4
形式:20cmダブルコーンフルレンジスピーカーユニット

【仕様】
何度かマイナーチェンジされているようで正確な数値はわかりませんが、目安は下記のとおりです。
総磁束密度 24,000ガウス
再生周波数帯域 30~22,000Hz
出力音圧レベル 98dB
許容入力 20W
インピーダンス 15オームまたは8オーム
重量 9,0Kg

 巨大な磁気回路と、大きなディフューザーが印象的な、古めかしい雰囲気のスピーカーユニットです。ユートピア機器(株)のHPによりますと「1930年代に企画され1950年来より継続生産されている唯一のスピーカーユニット」と紹介されています。程度の良いヴィンテージオーディオ製品のような雰囲気が漂っています。
 軽量なコーン紙を、あり得ないほど巨大なアルニコマグネットで駆動するという、少しやり過ぎというか、ある意味、イギリスらしい発想によるスピーカーユニットだと思います。
 昔は、フェライトマグネットよりアルニコマグネットのほうが音が良いと、よく言われていましたが、実際はどうなのでしょうか。1980年頃からでしょうか、アルニコは希少金属として流通量が減ってきているようです。今となっては大変贅沢なつくりのスピーカーユニットといえるのではないでしょうか。
 ラウザーはボイスコイル部分のクリアランスが狭く擦れて断線しやすいと言われているようです。
 かなり個性的な外観ですが、音質はどちらかといえば素直な感じだと思います。ダブルコーン特有の音色は感じられますが、例えばコーラルBETA-8のようなクセの強い感じではないと思います。
 高音は割とよく出ていると思いますので、フルレンジでも必要にして十分ではないでしょうか。ヴォーカルの生々しさと立ち上がりの速い音がラウザーの特長でしょうか。エンクロージャーの代わりに段ボールで色々試してみた程度ですが、ソースによっては、スピーカーの存在を感じさせない鳴り方をすると思います。ユーチューブで「lowther speaker」等で検索すれば、大まかな音の傾向はおわかり頂けると思います。                    

 エンクロージャーについて、バックロードホーンの寸法は「ACOUSTA115」「ACOUSTA115  LOWTHER」等で画像検索すれば色々出てきます。小型エンクロージャーでは「L.I.B」がよさそうな感じがしますが、寸法図は見つかりませんでした。

 

メーカー: コーラル
型番: BETA-8

【主な仕様】
・再生周波数帯域 30~20,000Hz
・メカニカルクロスオーバー 6,000Hz
・出力音圧レベル 95dB
・プログラムソース入力 35W
インピーダンス
・振動系実行質量 8,5g
・磁束密度 15,500gauss
・最大外形寸法 233mm
・重量 3,3kg

 このスピーカーは1968年発売開始で1980年代まで製造されていたと思います。僕が購入したのは1980年頃でした。発売当初の定価14,000円は非常に高価だったかもしれませんが1980年頃の定価17,500円は非常に高価というほどではなかったと思います。確かフォステクスのバックロードホーン用20cmダブルコーンフルレンジの2倍くらいだったような気がします。現在の感覚では3万円前後といったところでしょうか。
 最初にこのスピーカーを見た時は少し衝撃的だった記憶があります。真ん中の金属部分からも音が出るのかと思ったりもしましたが、真ん中の金属部分は高音域の指向特性を向上させるためのディフューザーで音が出るわけではないことは後でわかりました。
 BETA-8は当時としては非常にハイスペックのフルレンジスピーカーだったと思います。作りも素晴らしいと思います。複雑な形状のダブルコーンスピーカーはサブコーンがなんとなくゆがんでいるような印象を受けるのは仕方がないことだと思いますが、BETA-8は40年経過した現在でもサブコーンがピシッとした感じです。コーン紙やエッジの劣化も少ないと思います。大切に扱えば非常に耐久性の高いスピーカーなのかもしれません。
 難しい理論はよくわかりませんが、現在のスピーカーとは根本的に設計思想が異なるものだと思います。強力な磁気回路と軽量のコーン紙が特徴です。音圧レベルが95dBと非常に高能率です。バックロードホーンエンクロージャーに組み込んだ場合BL-20D同等品となりますが、その場合は100dBにもなります。現在主流のブックシェルフ型では85dB位のスピーカーが多いと思います。大型スピーカーで90dB位でしょうか。計算上は85dBで100W、90dBで32W、95dBで10W、100dBで3,2Wで大体同じ音量になるようです。現在高能率スピーカーは少ないと思いますがデメリットが多いのでしょうか。高能率スピーカーは繊細な音が出やすいような気がしますが、どうなのでしょうか。

 当時としては非常にハイスペックだったと思いますし、作りは素晴らしく、見た目も個性的なので、どんな音がするのだろうと期待してしまいますが、このスピーカーは使いこなしが非常に難しいと思います。ちょっと音が個性的すぎるかもしれません。かなり昔ですが、長岡鉄男氏が雑誌の質問コーナーでBETA-8を暴れん坊と表現していましたが、そういう感じの音だと思います。ユーチューブで「CORAL BETA-8」等で検索すると色々出てくるのでなんとなく音の傾向は把握できると思います。僕は当時、自作の窪田式アンプを使っていましたが相性はあまりよくなかったかもしれません。
 BETA-8は一般的にはバックロードホーン用と言われていますが、取説にはバスレフ型の寸法も掲載されています。どちらがいいのでしょうか。僕はバックロードホーンで使用していました。
 BETA-8はソースを選ぶ傾向があると思います。ジャンルとしてはジャズ、ロック向きといえるかもしれませんが、一概にそうとも言い切れないと思います。カレンカーペンターやロバータフラック等のボーカルは息遣いとか口を動かしている様子がわかるほど生々しい感じの再生も可能だと思いますが、バックの演奏が荒れた感じになりやすいように思います。讃美歌等は意外といい感じで再生できるかもしれません。ソニーロリンズのサックスなどはいい感じだと思います。その場で演奏しているような雰囲気も再生できるかもしれません。ジミヘンドリックスのギターもいい感じだと思います。意外とクラシックのストリングスの表現が独特な感じでいいかもしれません。あいみょんとかヒゲダンも悪くはないと感じました。ただ、やはり全体的には、荒れた感じの音になりやすと思います。
 取説には高音再生は様々な工夫によりトゥイーターの音質を凌ぐものがあると書かれていますが、確かにそうかもしれません。シンバル等の高音再生が印象的で金属質な感じがよく表現されていると思います。紙っぽくない音質です。

 このスピーカーの特徴を一言で言えば、荒れた音になりやすいものの意外なほど繊細で生々しい表現をすることもあるといったところでしょうか。長所を生かして短所をうまく抑え込むことがこのスピーカーを使いこなすポイントかもしれません。
 細かな音質調整が可能で艶っぽい感じの音質のアンプとの組み合わせが、いいような気がしますがどうなのでしょうか。実際試すことはできなかったのですが、以前所有していたマッキントッシュMA6200を思い出しました。

 以前ラウザーPM6のバックロードホーンと真空管アンプとの組み合わせを試聴したことがあり、ぞっとするほど生々しい音だった記憶があります。あくまで記憶なので、仮に現在、同じ装置で聴く機会があったとしてどう思うかはわかりません。PM6とBETA-8は見た目が似ていますし設計思想も似ていると思われますのでのでBETA-8と真空管アンプの組み合わせも面白いかもしれません。

 ラウザーPM4とBETA-8を比べてみると、作りに関しては圧倒的にBETA-8のほうが上です。ラウザーPM4は、厳重な品質管理のもとに生産されているというよりは工作の得意な人が作ったような感じなのですが、意外なほど素直な音が出るというのは伝統の重みでしょうか。ラウザーも、じゃじゃ馬などと言われることがあるようですが僕は違うと思います。

 コーラル社はだいぶん前に倒産していますのでメーカーへの問い合わせ等はできません。倉庫管理、配送部門は生き残ったらしく現在は運送会社として存続しているようです。関東では、たまにコーラルのロゴマークのトラックを見かけます。

 ベータシリーズは一般的にはBETA-10(25cm)とBETA-8(20cm)ですが、16cmのBETA-6も存在します。BETA-6は星型ディフューザーが付いていません。BETA-6が一番珍しいかもしれません。カタログには載ってなかったと思います。僕の知る限りでは秋葉原の1店舗だけで販売されていてこんなモデルがあるのかと思ったものです。倒産後も販売されていたということはないかもしれませんが割と最後のほうまで販売されていたと思います。BETA-6は謎の多いモデルかもしれません。

ラウザー PM4

コーラル BETA-8