MINIPOCHI’s diary

僕は50代後半、妻は50代半ば、東京在住です。子供二人、犬一匹(16歳のトイプードル、ポチ)、20年11ヶ月、246,432Km乗り続けてきたR53 BMWミニ JCWは本当に楽しい車でした。現在は2022年式アウディRS3セダン(GYDNWF)です。ドライブ、株式投資、ペット、オーディオ、音楽、時計等、雑記ブログです。

【銀座 天龍】の大きな餃子 【銀座の高級時計宝飾店】 ピクテ投資セミナー【金融政策の行方と市場への影響】

 うちは共働きなのですが、12月16日(金)は平日の休みが、妻と一致したので、一緒に 

ピクテ・ジャパン会場無料開催セミナー【金融政策の行方と市場への影響】に行ってきました。場所は丸の内パークビルディング21Fのピクテ・ジャパン東京オフィスで、午後6時半から45分ほどのセミナーです。

 ピクテ・ジャパンの無料セミナーの情報は下記になります。

www.pictet.co.jp

 妻は新宿で用があるので、午後3時40分位に東京駅丸の内口近くの【KITTE丸の内】という商業ビルで待ち合わせをすることにしました。それまでの時間、僕は家でゆっくり過ごしたり、ポチ(15歳 トイプードル オス 白)を散歩させたりしていました。

 僕は、午後3時過ぎに家を出ました。待ち合わせ場所の【KITTE丸の内】は1Fの吹き抜けが印象的な大きなスペースに、雪が積もっているような大きなクリスマスツリーが飾られていました。

 「JPタワー」という超高層ビルのB1~6Fが【KITTE丸の内】という商業施設になっています。尚、商業施設部分の内装デザインは隈研吾氏が担当しています。低層棟は旧東京中央郵便局舎(1931年[昭和6年]吉田鉄郎設計)の一部を保存・再生しているそうです。1Fには大きな郵便局があります。タイルの雰囲気等がどこか懐かしいです。

marunouchi.jp-kitte.jp

www.youtube.com

 ここから歩いて銀座へ行きました。銀座で待ち合わせをしてもよかったのかもしれませんが、東京駅から銀座へは歩いても思ったほど遠くはありません。

 少し早いのですが【銀座 天龍】という中華料理店で夕食をとりました。時間は早かったのですが、適度にお客さんがいました。

 僕たちは、大きな焼き餃子(8ヶ 1,200円)とチャーシューチャーハン(990円)を注文しました。一つずつ注文して二人で分けて食べました。特に餃子が大きくて量が多いので、二人で分けてちょうどいいくらいです。ソフトクリームも注文しましたが、妻はひと口でいいということだったので、ソフトクリームはほとんど僕が食べました。

 味は、王道というか普通においしいのですが、また来てみたいと思える店でした。この店は食事をシェアすれば、かなりリーズナブルだと思います。今回は二人で2,700円位でした。

goo.gl

www.tenryu-ginza.jp

 食事を終えてから銀座の街を少し歩いてみました。

 ティファニー銀座本店】は高級時計宝飾店にしては入りやすいと思います。たくさんの人たちで賑わっていました。ティファニーとしてはリーズナブルな商品も販売されていますが、1,000万円の大粒のダイヤモンドリングとか、5,400万円のダイヤがびっしりのネックレスなども販売されていました。

goo.gl

 上記をクリックして銀座中央通りストリートビューで見てみると、高級時計宝飾店が多くあるのが分かります。

 カルティエ、ショーメ、ヴァンクリーフ、ブルガリ、ウブロ、は買う気がないと入りづらい雰囲気を感じたので入りませんでした。高級時計宝飾ブランドの店舗は入りづらいのが一般的だと思いますが、ティファニーの入りやすさは、ちょっと意外でした。

 少し歩いて【銀座・和光】にも行ってみました。和光の建物は銀座の顔といってもいいと思います。ショーウインドウのディスプレイがとても印象的でした。

 セイコーの高級ブランドである「グランドセイコー」といえば裏蓋の獅子のマークが特徴的ですが、平面の獅子が立体的に飛び出してきたような感じのディスプレイでした。尚、最近のグランドセイコーはシースルーバックのモデルが多くなりましたが、裏蓋がガラスのモデルでも、よく見ると、うっすらと獅子のマークが入っています。

グランドセイコーの裏蓋の獅子が飛び出したかのような、銀座和光のショーウインドウのディスプレイ

 和光の2Fは、ちょっとしたグランドセイコー博物館みたいなコーナーがありました。和光は幅広く高級時計のブランドを扱っていますが、セイコー100%の子会社なので、セイコーの品ぞろえ、特にグランドセイコーは、たいへん充実しています。

goo.gl

 和光を後にして丸の内まで歩きました。

 午後6時半から、ピクテ・ジャパン会場無料開催セミナー【金融政策の行方と市場への影響】が始まりました。講師は大槻奈那氏です。内容はそれなりに分かりやすかったと思いますが、妻は訳が分からないと言っていました。

 2023年のGDP成長率について、ピクテのマクロ経済予想では、日本が先進国中最も安定的に拡大、と予想しているのは少し意外でした。日本は少ししか成長しない見込みなのですが、他の先進国の成長率が大きく落ち込む見込みなので、相対的にみて良いということのようです。このセミナーが開催されたのは12月16日ですが、12月20日の日銀の金融緩和策微調整で、ピクテのマクロ経済予想見通しに変化があるのかどうか気になるところです。

 セミナーの帰り、もう一度【KITTE丸の内】にちょっと寄ってみました。クリスマスツリーはきれいでしたし、商業施設部分屋上からの夜景もきれいでした。

【KITTE丸の内】の、雪が積もっているかのようなクリスマスツリー

【KITTE丸の内】屋上からの夜景

「パテックフィリップ」の【アーカイブ】について

 パテックフィリップの「アーカイブ」がどのようなものなのか、についてパテックフィリップ公式ウェブサイト(日本語)の情報等を元に調べてみました(2022年5月)。正確な情報を記述したつもりですが、パテックフィリップを購入する際のアーカイブの重要性等については、必ず最新の情報を入手し販売店等の専門家の見解を参考にしてください。下記にパテックフィリップ公式ウェブサイト(日本語)のURLを示しておきました。 

https://www.patek.com/ja/%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9/extract-from-the-archives

 

https://www.patek.com/ja/%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9/extract-from-the-archives/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F

 

 「アーカイブ」の正式名称は「Extract from the Archives」です。

Extract from the Archives」について、公式ウェブサイトで「真正性の証拠とはならず、真正性を保証するものではありません。」との記述があります。この部分は少し分かりにくいかもしれません。一見、免責事項の記述のような感じがするかもしれませんが、そうではなく、真正性を証明する書面ではないことが述べられているのだと思います。この部分について免責事項のような捉え方をすると、「真正証明書のようなもの」という認識になってしまうと思います。

 「Extract from the Archives」について、公式ウェブサイトでは「パテック フィリップ販売台帳に記録されている情報のみに言及しています。」と述べられています。この部分は、申請された「ケースの製造番号」と「ムーブメントの製造番号」に一致する販売台帳の情報を書面にしたものであることを意味していると思います。

 2022年5月時点では「Extract from the Archivesの申請は公式ウェブサイトのみで受け付けています。必須項目はケースの製造番号ムーブメントの製造番号時計の画像、です。いつ頃から時計の画像が必要になったのかは分かりませんが、昔は時計の画像は必要なかったと思います。時計の画像が必要な理由については、公式ウェブサイトでは「時計の実物と販売台帳の記載事項が視覚的に一致していることを確認するために写真が必要です。」と説明されています。「視覚的に一致」という記述については、例えば台帳の記述が「黒文字盤」の場合、画像も「黒文字盤」になっているか、台帳の記述が「革ベルト」の場合、画像も「革ベルト」か、といった確認だと思います。「視覚的に一致」の記述は「真贋の判定」を意味しているものではないと思います。現在では、視覚的に一致しないものについては、「Extract from the Archives」は発行されないのでしょうか。昔は視覚的に一致しないものでも、ケースの製造番号、ムーブメントの製造番号が一致していれば「Extract from the Archives」が発行されていました。

 「Extract from the Archives」は、一見、本物であることの証明書のような感じがしますが、本来の主な用途は、1.申請した時計の製造年の情報が分かる、2.「Extract from the Archives」の記載と、申請した時計の特徴が異なっている場合はパテックフィリップ以外で手が加えられていることが分かる、だと思います。近年では、2.についてパテックフィリップ社のほうで、ある程度確認しているということだと思います。

 尚、ヴィンテージウォッチについては、「Extract from the Archives」がないと中古市場で流通しづらいという商慣習がありますので、ヴィンテージウォッチについては「Extract from the Archives」があったほうがよいと思います。

 「Extract from the Archives」に記載される情報は10項目です。注意が必要な項目は次のようになると思います。

・「Style」は、型番や材質が記載されていますが、材質の確認は重要だと思います。例えば「Extract from the Archives」の記述がYGで現物がPGだった場合は、より希少性の高いものに見せかけるためにPGメッキがかけられている可能性が高いと思います。

・「Type of dial」は文字盤の種類が記載されています。現物が希少な文字盤で「Extract from the Archives」の記述と一致している場合は心強いと思います。但し、古い時計の場合の場合は「Not mentioned」になっていることも多いです。この場合はパテックの台帳にも情報がないことを示しています。また「Extract from the Archives」の記述と実際の文字盤が異なる場合は、色々なケースが考えられますので専門家によく聞いたほうが良いと思います。

・「Date of manufacture」が製造年であることは明確ですが、「Date of sale」は、エンドユーザーに販売された日なのか、出荷日なのかどちらなのでしょうか。どちらにしてもそれほど重要なことではありません。

・「Bracelet/Leather strap」の項目は少し注意が必要です。「Extract from the Archives」の記載が「Leather strap」なのに現物がブレス一体型の場合は改造されていますので、価値が下がる可能性が高いです。「Extract from the Archives」の記載が「Leather strap」で現物が着脱可能なブレス付の場合は改造されてなく価値に影響しない可能性が高いと思いますが、念のため専門家に聞いたほうがよいかもしれません。「Extract from the Archives」の記載が「Bracelet」で現物が革ベルトの場合、着脱可能なブレス付だったものが革ベルトに変更されている場合は改造されているわけではないので価値には影響しないと思いますが、念のため専門家に聞いたほうがよいかもしれません。一体型ブレスであったものが革ベルトに変更されている場合は改造されていますので価値が下がります。「Extract from the Archives」のブレスの記述で一体型ブレスなのか着脱可能なブレスなのかについての説明があるのかどうかは、ここでは分かりませんので、専門家等に相談してください。

Remark」の項目に記載がある場合はよく読んだほうが良いと思います。

オメガ【スピードマスター永久カレンダー】BA1750037 希少モデル

 オメガ スピードマスターはオメガを代表するモデルです。

 数えきれない位、たくさんの種類が存在しますが、永久カレンダー搭載はREF.BA1750037のみだと思います。

 スイス建国700周年記念モデルです。1991年に何故か日本限定モデルとして50本販売されたものです。

 以前は日本では時々見かけたモデルですが、最近では、ほとんど見かけなくなりました。世界的には、かなり珍しいモデルになると思います。

 このモデルは、スピードマスター唯一の永久カレンダー搭載モデルですので、スピードマスターの歴史を語る上では重要なモデルと言えるかもしれませんが、特別なオーラが漂っているような時計ではなかったと思います。ETA2892-2ベースですので操作感もREF.3510.50のような感じだったと思います。

 永久カレンダーとは大の月、小の月、うるう年のカレンダー調整が自動で行われるものです。デジタル時計では、当たり前の機能ですが、機械仕掛けで、これを行なうのは高度が技術が必要とされており、永久カレンダーが搭載された機械式腕時計はたいへん高価です。

 たくさんの針等の機能は次の通りです。

 3時位置月齢表示、6時位置12時間積算計及び「曜日」表示、9時位置30分積算計及び「月」表示及びうるう年表示、12時位置永久秒針及び「日」表示 

主な仕様は次の通りです。

 REF.BA1750037 CAL.1160(ケレック製) ケース径 約39mm プラ風防 K18YG 自動巻 28,800振動

 CAL.1160はETA2892-2に永久カレンダーとクロノグラフのモジュールを追加したものです。

 ムーブメント製作を担当したケレック社は1896年創業のスイスのメーカーです。昔のケレック社がどのようなメーカーだったのかはよく分かりませんが、比較的最近については時計メーカーというよりは、ETAベースにクロノグラフ等の機能を追加したムーブメントのメーカーといったところでしょうか。ETAベースのブライトリングのクロノグラフムーブメントの一部はケレック社が担当していました。ケレック社は1997年にブライトリングに買収され、2002年に社名が「ブライトリング・クロノメトリー」に変更されています。

 

 

パテックフィリップの幻の希少モデル【REF.1490】PATEK PHILIPPE

 パテックフィリップ(PATEK PHILIPPE)の図鑑「【PATEK PHILIPPE GEBNEVE Wristwatches】マルティン・フーバー、アラン・バンベリー共著 ジスベルト・L・ブリュナー 執筆協力」には珍しいモデルがたくさん掲載されています。1点ものは型番のないものも多いようです。型番のあるモデルでネットで検索してもなかなか出てこないようなモデルを探して見ました。

 【REF.3615】は幻のモデルといってもいいほどの希少モデルだと思いますが、ネットの検索ではすぐに出てきました。市場に出回ることはまずないモデルだと思いますが、その存在は、ある程度知られているということだと思います。パテックの複雑時計でミニッツリピーターとクロノグラフの組み合わせのモデルは、なぜかほとんどありません。【REF.3615】は永久カレンダーミニッツリピーターワンプッシュクロノグラフというパテックではめったに見られない組み合わせの超複雑時計です。尚、「ミニッツリピーター」の表記について、パテックフィリップの日本語サイトでの表記は「ミニット・リピーター」です。

 他に色々探していると【REF.1490】というモデルが見つかりました。このモデルも幻のモデルではないでしょうか。見たことがないようなモデルです。ネットの検索でもほとんど手掛かりは得られませんでした。

 【REF.1490】はトリプルカレンダーです。昔の時計なので「月」は手動式かもしれません。画像のモデルはフランス語表記のカレンダーです。10月30日金曜日を示しています。この図鑑によりますと(1940/1942)となっていますので1940年と1942年に製造されたということでしょうか。ムーブメントはCAL.8-85にカレンダーモジュールを追加したものです。日本語訳によりますと「カレンダー機構はルイ・コティエによる」となっています。ルイ・コティエ氏(Louis Cottier)は時計師のようです。ルイ・カルティエ(Louis Cartier)とちょっと似ていますが綴りが異なります。

 CAL.8-85は丸型のムーブメントです。この図鑑によりますと製造期間は1936年~1967年、仕様は18石  平髭ぜんまい(後にブレゲ髭ぜんまい) モノメタルチラネジテンプ 21,600振動、となっています。図鑑に掲載されていた写真のムーブメントには耐震装置がありませんでしたが、1967年迄製造されていたことを考えると後に耐震装置付に変更されているかもしれません。【REF.1490】に搭載されているCAL.8-85はおそらく耐震装置なしのタイプだと思います。21,600振動となっていますが、1936年開発当時としてはかなり高振動だったのではないでしょうか。

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ロレックスのフルーテッド(ギザギザ)ベゼル

 フルーテッド(ギザギザ)ベゼルは、ロレックスの代表的なモデルである「デイトジャスト」や「デイデイト」でよく見かけるベゼルです。フルーテッド(ギザギザ)ベゼルはロレックスらしさを特徴づけているデザイン要素ですが、元々は、ねじ込用の刻みだったようです。ロレックスの裏蓋は細かな刻みがありますが、この刻みに専用工具をかみ合わせてねじ込式の裏蓋の開閉を行なうのですが、かつてのロレックスはベゼルもそういう構造だったというのは少し意外な感じがしました。

 いつ頃まで「ねじ込式ベゼル」が使われていたのか、ちょっと調べてみましたが、よくわかりませんでした。

下記URLでちょっとだけスクロールすると出てくる時計は「1926年 世界初の防水腕時計」として紹介されていますが、この腕時計は「ねじ込式ベゼル」で間違いないと思います。現在のロレックスの裏蓋の刻みと少し似ていますが、ベゼルの場合は目立つ場所なので、デザイン性も考慮した刻みになっているようです。

https://www.rolex.com/ja/about-rolex-watches/1926-1945.html

 上記のURLをもう少しスクロールしていくと「1945 最初のデイトジャスト」として紹介されている腕時計があります。この時計はおそらくREF.4467でしょうか。現在のフルーテッド(ギザギザ)ベゼルと比べると、かなり刻みが細かいのですが、これが「ねじ込み式ベゼル」の刻みなのか、デザイン要素としての刻みなのかは分かりません。推測になりますが、1940年代半ばには既に装飾としてのフルーテッド(ギザギザ)ベゼルになっていたものと思われます。この年代のバブルバックの多くはスムースベゼルです。

1986年頃からのパテックフィリップのクロノグラフムーブメント

 パテックフィリップのクロノグラフムーブメントで1986年頃からよく使われていたのがレマニアベースのCH27-70です。パテックフィリップ初の自社開発クロノグラフムーブメントは2005年のCH27-525のようですが、このムーブメントはごく少量しか生産されていないようです。一般的には2006年開発の自動巻クロノグラフムーブメントCH28-520、2009年開発の手巻クロノグラフムーブメントCH29-535、となるようです。

 レマニアベースCH27-70(手巻)の後継機種は、自社開発CH29-535(手巻)になると思います。

 CH27-70(手巻)とCH29-535(手巻)の主な違いは、・CH27-70(手巻)は、レマニアベース、18,000振動、秒針規制装置なし、・CH29-535(手巻)は、自社開発、28,800振動、秒針規制装置付、といったところでしょうか。ムーブメントの見た目は、・CH27-70(手巻)が大きなテンワがゆったり動いている感じ、・CH29-535(手巻)は小さめのテンワがスピーディに動いている感じ、といったところでしょうか。プッシュボタンの感触は、・CH27-70(手巻)は柔らかな感じ、CH29-535(手巻)もある程度柔らかな感触だったと思います。

 CH28-520(自動巻)とCH29-535(手巻)は、かなり性格の異なるムーブメントだと思います。・CH28-520(自動巻)はクロノ作動時に、ほとんど針飛びのない垂直クラッチ式、・CH29-535(手巻)は伝統的な水平クラッチ式です。

 CH28-520(自動巻)はクロノ秒針を常時作動可能な設計になっていますので、クロノ秒針を通常の秒針として使用することも可能です。一般的にはクロノグラフのクロノ秒針は、機械に負担がかかるので時間計測時以外は止めておくのがよいとされています。その代わりスモールセコンド(いわゆる永久秒針)が付いているものが多いです。

 CH28-520(自動巻)はクロノスタート時のクロノ針の針飛びはほとんどありませんが、プッシュボタンのタッチは、かたい感じです。

ロレックスデイトナのムーブメント CAL.4030とCAL.4130

 16520等5桁のデイトナに搭載されているムーブメントがゼニス社エルプリメロベースのCAL.4030、116520や116500等6桁のデイトナに搭載されているのが自社開発ムーブメントCAL.4130です。

 エルプリメロベースのCAL.4030の製造期間は1988年頃~2000年です。

 ゼニス社エルプリメロは1969年9月に発表された世界最初期の自動巻クロノグラフムーブメントです。マイナーチェンジを繰り返しながら現在も製造され続けている息の長いムーブメントですが、それをロレックス社がチューンナップしたものがCAL.4030です。

 主な改良点は36,000振動から28,800振動への変更、緩急針による精度調整からミーンタイムスクリュー付テンプによるフリースプラング方式への変更、平ひげゼンマイからブレゲひげゼンマイへの変更等です。

 ロレックスは1960年代頃から現在に至るまでクロノメーター表記のムーブメントは「フリースプラング緩急調整方式」と「ブレゲひげゼンマイ」にこだわり続けていメーカーです。このようなメーカーはほとんどないと思われますので、メーカーの宣伝に積極的に使ってもいいのではないでしょうか。エルプリメロを自社製品に搭載する際も、この2点は譲れない部分だったのだと思います。

 ロレックスは基本的に自社ムーブメントを搭載しているメーカーですが、クロノグラフムーブメントの自社開発は色々な面で難しいことだったのでしょうか。6263等4桁のデイトナバルジュー社のムーブメントがベースでした。ロレックスの自社開発ムーブメントは2000年のCAL.4130からです。ちなみにパテックフィリップのクロノグラフはレマニア社ベースのムーブメントが長年使われていました。パテック社初の自社開発ムーブメントは2005年のCH27-525となるようです。

 エルプリメロベースのCAL.4030と自社開発のCAL.4130を比べてみた場合、一番大きな違いはクロノ作動時のセンター針の針飛びがあるか、ないか、でしょうか。前者は若干針飛びがみられ、後者はほとんど針飛びがありません。水平クラッチ方式と垂直クラッチ方式の違いによるものだそうです。プッシュボタンの感触は大きな違いはないと思います。デイトナは裏スケではないのでムーブメントを目にする機会はほとんどないと思いますが、見た目はエルプリメロベースのCAL.4030のほうが味わい深い気がしますが好みの問題でしょうか。自社開発のCAL.4130は部品点数がかなり削減されているようで、メンテナンス性と信頼性が向上しているようです。

 CAL.4030よりCAL.4130のほうが性能は向上していると思いますが、CAL.4030もゼニスの伝説的なムーブメント、エルプリメロをロレックスが改良した貴重なムーブメントで捨てがたい魅力があると思います。

パテックフィリップ REF.3970 永久カレンダームーンフェイズクロノグラフ

 パテックフィリップ REF.3970 永久カレンダームーンフェイズクロノグラフについて述べてみたいと思います。

 製造期間は1986年~2004年迄となるようです。

 凝縮感が印象的な時計です。文字盤、針、ムーブメントはルーペで観察しても細かなところまで、しっかり作り込まれています。この作り込みが凝縮感につながっているのだと思います。

 36ミリというサイズは大きすぎず小さすぎず、適度な厚みがあり、腕によく馴染みます。

 文字盤はたくさんの表示機能を持っています。12時位置の二つの小窓は「曜日」「月」表示です。3時位置インダイアルの短い針は閏年表示、長い針はクロノグラフの30分積算計です。6時位置インダイアルはディスクカレンダーになっています。月齢表示も付いています。9時位置インダイアルの短い針は24時間表示、長い針は永久秒針です。クロノグラフのセンター針は常時作動させておくと機械に負担がかかるといわれていますので、時間計測時以外は止めておき、普段は永久秒針で秒の確認をします。尚、最近ではCH28-520のように常時秒針を動かしておいても問題が生じないような設計のクロノグラフムーブメントもあります。

 ムーブメントはCAL.CH27-70Qです。レマニア製のベースムーブメントをパテックフィリップがチューンナップしたものです。スペックは下記のとおりです。

 24石 キフ耐震装置 ブレゲひげゼンマイ ジャイロマックステンプ フリースプラング緩急調整方式 18,000振動 コラムホイール式 秒針停止機構なし ジュネーブシール刻印 30分まで計測可能なツーカウンタークロノグラフ

 8姿勢差で調整されています。8姿勢差で調整されたムーブメントはほとんどないと思います。逆に言えば、そこまで多くの姿勢差で調整する必要はないということでしょうか。一般的には5姿勢差での調整です。6姿勢差で調整されたムーブメントも時々見かけます。たくさんの姿勢差で調整したから高精度ということにはならないと思いますが、ムーブメントに英語で「8姿勢差による調整」と刻まれているのを見ると、特別感が感じられます。

 このムーブメントは大きなテンワが特徴的です。かなり大きいと思います。古典的な18,000振動のロービートで大きなテンワがゆったり動く様子が味わい深いと思います。

 プッシュボタンのタッチはスタート、ストップ、リセットすべてが高級機らしい心地よい感触です。クロノスタート時に若干針飛びが見られることがありますが、古典的な水平クラッチクロノグラフの場合は仕方がないことでしょうか。最近多くなってきた垂直クラッチ式は針飛びがありませんが、CAL.CH27-70ほど心地よい感触のクロノグラフは多くはありません。

世界初の腕時計の自動巻トゥールビヨン オーデマピゲ 25643BA

 「世界初」には色々な定義があると思いますが、一般的には、1986年発表のオーデマピゲ REF.25643BAが、世界で初めて、製品化に成功した自動巻の腕時計トゥールビヨンと言えるのではないでしょうか。「25643BA」で画像検索すると、色々出てきます。

 このモデルは以前は時々見かけましたが、最近は見かけなくなりました。僕が最後に見たのもずいぶん昔です。

 このモデルは色々なバージョンがあります。一般的なのは18金YGケース、金文字盤、革ベルト、のタイプです。ケース幅は約28,5mm、ケース厚さは約4,8mmです。

 超薄型の自動巻トゥールビヨンで、現在でもこの薄さは世界最薄かもしれません。この時計は裏蓋がそのままムーブメントの地板になっています。

 6時位置の小窓から自動巻のローターの動きを楽しむことが出来ますが、このローターは少ししか動かないので巻き上げ効率が悪いです。ハーフローターよりは確実に動かないので、クォーターローターくらいでしょうか。そんな用語があるのかどうかわかりませんが。

 11時位置の窓から、トゥールビヨン脱進機の動きを楽しむことが出来ますが、巻き上げ効率が悪く、手巻き機構も付いていませんので、なかなか動き出さないことがあります。個体差もあるかもしれません。

 ゼンマイの巻き上げは、あまりカタカタ振ると、繊細な機構にダメージを与えてしまうかもしれないので、時計が動き出すまで、丁寧にゆっくり、ローターを動かし続けるしかありません。いつまでたっても動き出さない場合は、脱進機が動き出すように軽く衝撃を与えてやる必要がありますが、これも気を使う作業です。

 よく見ると、扱いにくさも含めて、地味な味わいのある時計でしょうか。

 

 

ジェラルド・ジェンタ G4010 永久カレンダーミニッツリピータートゥールビヨン GERALD GENTA

 ジェラルド・ジェンタのG4010という凄まじい腕時計を見たことがあります。1989年発売開始モデルです。永久カレンダーミニッツリピータートゥールビヨンです。現在でもこれだけの超複雑時計は少ないと思いますが、当時は驚異的だったと思います。ケース幅 約34,5mm、厚さ 約13,5mmの小ぶりで厚さのあるケースに、これでもかというほどに細かなパーツが詰め込まれた時計です。44石 21,600振動 部品総数650個で、ムーブメントには、なんとジュネーブシールの刻印迄入っていました。「ジュネーブシール」とは、ざっくり言えばスイス製の最高品質の時計に与えられる認証制度で、ムーブメントの品質について細かな規定があります。精度もクロノメーター位の精度が必要だったと思います。実際問題として精度が出しづらいと言われているトゥールビヨンジュネーブシール取得というのは凄いと思います。ちなみに、かつてパテックフィリップのほとんどの時計はジュネーブシールを取得していましたが2009年頃を境に「パテックフィリップシール」という独自基準に移行しましたので、ジュネーブシールの権威は以前ほどではなくなってきているかもしれません。

 ジェンタはG4010の後に「グランドソヌリ」という更に複雑な時計を発表しますが、僕はG4010のほうが好みです。

 G4010は色々なバリエーションがあるのですが、一般的には両面スケルトンです。GERALD GENTA G4010 で画像検索すると少し出てきます。エングレーブ装飾も見事でした。この時計を見たのはもう20年以上前ですが、なんだこれは、という感じで、ちょっと衝撃的でした。今、見るとどう思うかわかりませんが、凄い時計に変わりはないと思います。

 ジェンタは斬新なデザインだけでなくムーブメントにも、こだわりを持っていましたので最上級ラインは自社ムーブメントで対応していました。現在、よく耳にする「マニュファクチュール」です。これは、ピエール・ミッシェル・ゴレイ氏の手腕によるところが大きいと言われています。彼はパテックとオーデマの複雑時計部門で働いていたことがあり、1973年からはジェンタで働いている複雑時計の専門家です。

 ミニッツリピーターの音色もよかったと思います。当時、割とミニッツリピーターの音を聴く機会があったのですが、いいほうだったと思います。過去の記憶ですが、やはりパテックがダントツだったと思います。パテックは腕時計としては大きな音、澄んだ美しい音色、等間隔でリズミカルなゴングの動作、そして動作音の静かさが印象的でした。ジェンタは音は小さめでしたが、ほかの要素は割とよかったと思います。

 当時、ジェンタはカルティエに複雑時計を供給していましたので。W3004751あたりとG4010は少し似ています。

 G4010で少し気になる点があるとすればイエローゴールドは少し変色しやすい印象で、あと夜光面積の大きな針は劣化しやすいと思います。針は黒い針のタイプもあったと思います。現在G4010はほとんど見かけませんが、あったとしても程度の良いものは少ないかもしれません。

 ジェラルド・ジェンタ(1931~2011)は著名な時計デザイナーで、パテックフィリップのノーチラス、オーデマピゲのロイヤルオークがとくに有名です。時計メーカーとしてのジェラルド・ジェンタは1972年からだそうです。全盛期は1990年代でしょうか。その後ダニエルロートと一緒になり、ブルガリに買収されています。現在では、ブルガリのひとつのブランドになっているようです。メーカーとしてのジェンタは消滅してしまったのでしょうか。

 G4010は時代に埋もれてしまった名品でしょうか。

 

クオーツ クォーツ

 時計の、「クオーツ」と「クォーツ」はどちらが正しい表記なのか調べてみました。どちらでもいいと思いますが、どちらかと言うと「クオーツ」かもしれません。僕は「クォーツ」と思っていました。グーグルの検索でも"クオーツ"が1,080万件に対して"クォーツ"は1,380万件でしたので、「クォーツ」がより一般的な表記と思われます。しかしながら、1969年に世界初のクオーツ式腕時計「アストロン」を発売したセイコーのウェブサイトでは「クオーツ」という表記が使われていますので、どちらかと言えば「クオーツ」なのだと思います。

 ちなみに、カメラ等で有名な「キヤノン」は発音は「キャノン」ですが、表記は字のバランスを考え「キヤノン」だそうです。

 

世界初の自動巻クロノグラフ

 僕は、時計に接する機会は多いのですが、個人的に時計はほとんど持っていません。

 ゼニスクロノマスターエルプリメロ 01.0240.410  トリプルカレンダームーンフェイズクロノグラフ SS 自動巻 シルバーダイアル 革ベルトは数少ない所有していた時計ですが、少し前にヤフオクで売ってしまいました。いい時計だったと思います。

 ゼニスエルプリメロは、以前は、世界初の自動巻クロノグラフとして宣伝されていたと思いますが、最近はそういう宣伝のされ方はしていないようです。

 世界初の自動巻クロノグラフについて調べてみたことがあります。間違っているかもしれませんが次のようになると思います。

*1969年3月 世界初の自動巻クロノグラフムーブメントが発表されました。ホイヤー、ブライトリング、他数社の共同開発で二階建て構造のCAL.11です。

*1969年5月 世界で初めて自動巻クロノグラフが発売されました。セイコー製でムーブメントはCAL.6139です。

*ゼニスとモバードの共同開発によるCAL.3019PHC(エルプリメロ)の発表は1969年9月です。

世界初の自動巻クロノグラフは、発表ではCAL.11、発売ではCAL.6139、となるようですので、エルプリメロは世界初ではないようです。但し、CAL.11は二階建構造で一体型設計ではありません。またCAL.6139は高級機とは言えないと思います。

 CAL.3019PHCエルプリメロは一体型設計自動巻の高級クロノグラフムーブメントとしては世界初といっていいのではないでしょうか。

 ちなみにCAL.3019PHCは17石と31石があり、モバードは17石、ゼニスは31石です。モバードからは「デイトロン」、ゼニスからは「エルプリメロ」として発売されました。

パテックフィリップ キャリバー89

 ブログを始めて数日たちました。始めた以上は少しでも充実したものにしたいと、あれこれ思っていたのですが、まずはカテゴリーの幅を広げることにしました。

 僕は、個人的には時計はほとんど持っていないのですが、時計に接する機会は多いので色々書いてみることにしました。

 パテックフィリップ社のキャリバー89という表も裏も針がたくさんついている超複雑懐中時計があります。パテックフィリップ社創業150周年を記念して1989年に発表されたモデルのようです。だいぶん前の話になりますが、アンティコルムオークションの東京プレビューに行ったことがあるのですが、たまたま、その日は創業者のオズワルド・パトリッツィ氏がいてWGのキャリバー89を手に取って上得意に説明していました。僕は少し離れたところから見ていたのですが、キャリバー89は画像等で見るのとは少し違った印象でした。画像等では少し分厚い懐中時計といった印象ですが、実際のサイズ感は目覚まし時計に近いと思います。ミニッツリピーターの音色は思ったほどいい音ではないと感じましたが、キャリバー89はミニッツリピーターの音色を追求したものというよりは、機能を詰め込めるだけ詰め込んだ究極の超複雑懐中時計ということになるようです。この日よりさらに以前の話になりますが、キャリバー89を手にしたことがある時計修理職人の方にお話を伺う機会があったのですが、その方もキャリバー89はたくさん機能を詰め込んでいるので音色はそれほどではないとおっしゃっていたことを思い出しました。ネットで調べてみたところWGのキャリバー89はアンティコルムで2004年に6億円で落札されているようですので、僕が見たのは2004年ということになるようです。今、出品されたとすると一体いくらになるのでしょうか。